NASDAQ100指数に連動する投資信託は、ナスダックに1倍 のファンドから2倍 2.5倍 3倍とレバレッジをかけたものまで多種多様に存在します。
各ファンドの特徴、トータルリターンを通じて、2.5倍レバレッジである「SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍」のスイッチ失敗例も紹介します。
また、ハイリスク・ハイリターンといわれるレバレッジ指数ファンドのメリット・デメリットも詳しく解説していきます。
記事のポイント
- NASDAQ100指数の特徴
- SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍の失敗
- NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)の成功
- NASDAQ100 1倍 2倍 2.5倍 3倍のトータルリターン比較
1. NASDAQ100指数とは
NASDAQ100指数は、米国のナスダック市場に上場している時価総額でトップ100の非金融銘柄で構成されています。その特徴をまとめました。
NASDAQ100指数の特徴
- 時価総額加重型
- リバランスは毎年12月(銘柄入替含む)
- 指数に採用されるにあたり時価総額、流動性、業種等の規制はなし
- 1985年1月31日から指数の計算が始まっている
以下にNASDAQ100指数に連動する代表的な投資信託を記しました。
①ナスダック1倍 「三菱UFJ-eMAXIS NASDAQ100インデックス」
②ナスダック2倍 「auAM レバレッジ NASDAQ100」
③スイッチナスダック2.5倍 「SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍」
④ナスダック3倍 「NASDAQ100 3倍ブル」
⑤マルチアイナスダック3倍 「NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)」
ここでは、なるべくそれぞれの競合品の中で、ある程度運用実績がある人気の投資信託を選んでいます(最近設定の投資信託は運用実績が少ないため選んでいません)。
次のセクションでは、これらの投資信託の特徴を見ていきましょう。
2. NASDAQ100 1倍 2倍 2.5倍 3倍(2種類)の各ファンド 特徴
①三菱UFJ-eMAXIS NASDAQ100インデックス
NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
信託報酬:0.2035%(2024年6月13日より引き下げ、旧信託報酬:0.440%)
設定日:2021年1月29日
為替ヘッジなし
②auAM レバレッジ NASDAQ100
日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(米ドルベース)の値動きの2倍程度となることをめざします。
信託報酬:0.4334%(競合品最安)
設定日:2022年7月28日
為替ヘッジあり
③SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍
SOMPOスイッチ戦略(NASDAQ100)のリターンを享受する円建債券を主要投資対象とします。
平常時は信託財産の純資産総額に対してNASDAQ100指数を2.5倍程度保有する効果により、NASDAQ市場の成長を享受します。
市場のダウンサイドリスクが高まったと判断した場合は、シグナルが点灯(機動的にNASDAQ100指数のポジションを解消し)、市場下落の影響を抑える運用を行います。
信託報酬:0.759%
設定日:2022年5月9日 償還日:2032年5月31日
為替ヘッジなし
④NASDAQ100 3倍ブル
日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(配当込み、米ドルベース)の値動きの3倍程度となることをめざして運用を行います。
もし、基準価額が5営業日連続して1,000円未満となった場合、最長3カ月程度運用を継続した後、日本の短期金融商品等による安定運用に切り替えを行います。
信託報酬:1.5235%
設定日:2020年10月23日 償還日:2026年10月22日
為替ヘッジあり
⑤NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)
主として、連動債券に投資します。
原則として、米国の株価指数先物取引の組入比率が信託財産の純資産総額の3倍程度となるように買い建てます。
市場局面がリスク回避局面と判定される場合、基準価額の下落リスクを抑制するために、委託会社の独自モデル(マルチアイ)に基づき株価指数先物取引の組入比率を調整し、基準価額の下落リスクの抑制をめざします。
信託報酬:1.3475%
設定日:2021年3月26日 償還日:2026年3月25日
為替ヘッジあり
上記の②から⑤の投資信託はレバレッジ指数ファンドです。
3. NASDAQ100 1倍 2倍 2.5倍 3倍(2種類)の5ファンド リターン比較
NASDAQ100指数に連動する上記の①から⑤のファンド(1倍から3倍レバレッジ)のトータルリターンを比較していきます。
過去2年3ヵ月のトータルリターン比較
5ファンドの中で最も設定の新しい「auAM レバレッジ NASDAQ100」の設定日
(2022年7月28日)から現在(2024年11月8日)までのトータルリターンの比較チャートです。
引用:マネックス証券サイト
過去約2年3ヵ月のトータルリターン結果は、③SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍以外はレバレッジ品はその大きさに比例しての結果になっています。
- トータルリターン結果
⑤マルチアイナスダック3倍>④ナスダック3倍>②ナスダック2倍>①ナスダック1倍>③スイッチナスダック2.5倍
過去1年間のトータルリターン比較
2023年11月8日から2024年11月8日(過去1年間)のトータルリターン比較です。
引用:マネックス証券サイト
過去1年間のトータルリターンも上記の過去2年3ヵ月と同様の結果です。
チャート図では見にくいですが、⑤マルチアイナスダック3倍は+106.11%、④ナスダック3倍は+102.81%と若干マルチアイナスダック3倍が上回っています。
下落相場でのトータルリターン比較
2024年7月11日から2024年8月8日まで5ファンドとも大きく下落しました。
下落期間を含む、2024年7月11日から2024年11月8日のトータルリターン比較です。
引用:マネックス証券サイト
2024年7月11日から2024年8月8日まで5ファンドとも大きく下落しました。
特に、レバレッジ3倍の2ファンドは特に大きく下落しました。
(④ナスダック3倍は-37.20%、⑤マルチアイナスダック3倍は-36.07%)
やはり、下落相場では、3倍のレバレッジは相当額の損失があります。
③スイッチナスダック2.5倍が2024年8月6日より8月29日までリターンがほぼ変わらないのは、市場の更なる下落を予想してシグナル点灯(ポジションを解消していたため)です。
上昇相場でのトータルリターン比較
2023年1月から2024年7月11日の上昇相場でのトータルリターン比較です。
この期間は、全体的に見ると市場の上昇が続きました。
引用:マネックス証券サイト
この期間も過去2年3ヵ月、過去1年と同じトータルリターンの結果になりました。
③スイッチナスダック2.5倍は、②ナスダック2倍、①ナスダック1倍に劣後する結果で、シグナル点灯が上手くリターンに結びついているとは言えない結果になっています。
NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)の下落抑制成功例(2022年)
2022年は年間通して市場は下落しましたが、⑤マルチアイナスダック3倍が、株価指数先物取引の組入比率を調整し(減らし)、基準価額の下落を抑制しました。
④ナスダック3倍との比較で確認できると思います。
トータルリターン比較の結果=まとめ
上昇相場では、④ナスダック3倍>⑤マルチアイナスダック3倍>②ナスダック2倍>①ナスダック1倍>③スイッチナスダック2.5倍
下落相場では、その逆の結果になっています。
(例外=③スイッチナスダック2.5倍は全ての相場で最下位)
⑤NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)は、下落局面で、マルチアイにて基準価額下落抑制に成功しています。
SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍は他ファンドに劣後
③SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍は、設定後全ての期間で他ファンドにトータルリターンが劣後しました。
これは結果として、比較期間を通じてスイッチ戦略が失敗と言えます。
(少なくともトータルリターンの最大化、リスク抑制という観点からは失敗)
その理由として、シグナル点灯により、 NASDAQ100指数のポジションを解消したタイミングで市場が上昇した場面も見られたことです。
また、シグナル消灯し、NASDAQ100指数に2.5倍程度のレバレッジをかけたタイミングで市場が下落した場合も見られました。
さらに、市場が急騰、急落した場合において、 シグナルの点灯や消灯が追い付かない場合も見られました。
まさに、スイッチ戦略は逆効果だったと言えます。
次のセクションでは、レバレッジ指数ファンドに存在するメリット、デメリットを見ていきましょう。
4. レバレッジ指数ファンドのメリット、デメリット
レバレッジ指数ファンドのメリット
- 高いリターンの可能性
レバレッジ指数ファンドは、通常の指数ファンドに比べて数倍のリターンを目指すことができます。
市場が好調な時には、そのパフォーマンスの高さから大きな利益を得ることが可能です。 - 資金効率の向上
少ない元本で大きなポジションを持つことができるため、資金を効率的に運用することができます。
これにより、他の投資機会への資金割り当ても柔軟に行うことができます。 - 短期投資に向いている
レバレッジを利用することで、短期間での価格変動から恩恵を受けることが可能です。
トレーダーにとっては、短期的な利益確定がしやすい特性があります。
レバレッジ指数ファンドのデメリット
- リスクが高い
レバレッジの使用は、利益が増加する一方で、損失も同様に増える可能性があります。
市場が逆方向に動いた場合、予想以上の損失を被る恐れがあります。 - ボラティリティの増大
レバレッジをかけることにより、ファンドの値動きが激しくなります。
これにより、精神的なストレスや、投資判断を誤る可能性も高まります。 - 長期投資には不向き
レバレッジ指数ファンドは短期的なパフォーマンスを目指す特性が強く、長期で保持する場合、思わぬ結果になることがあります。
相場の変動が大きいと、コンパウンド効果が足りないため、期待したリターンが得られないリスクがあります。
NASDAQ100指数で安定的な投資を求めるならば、レバレッジのかかってない「三菱UFJ-eMAXIS NASDAQ100インデックス」が最適でしょう。
NASDAQ100 1倍 2倍 2.5倍 3倍(2種類)の5ファンド 比較 総括
- 上昇相場のトータルリターンは、ナスダック3倍>マルチアイナスダック3倍>ナスダック2倍>ナスダック1倍>の可能性が高い
- 下落相場では、その逆
- SOMPO スイッチ NASDAQ100 レバレッジ2.5倍は、設定後全ての期間で他ファンドにトータルリターンが劣後(スイッチ戦略が失敗)
- NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)は、下落局面で、基準価額下落抑制に成功
- レバレッジ指数ファンドへの投資は、リスクとリターンのバランスを十分に理解することが必要(メリットはデメリットにもなる)
- 安定的な投資を求めるならば、ナスダック1倍の選択を考えるべき