半導体関連企業で構成されるSOX指数と、テクノロジー企業が中心のNASDAQ100指数を取り上げ、それぞれのパフォーマンスや、リターンとリスクなど様々な比較をしていきます。
また、半導体産業のシリコンサイクルからのスーパーサイクルとSOX指数の関係についても解説します。
記事のポイント
- 両指数の特徴
- 両指数のパフォーマンス比較
- SOX指数の大きな下落は当たり前=シリコンサイクル
- 現在はスーパーサイクル中
1. SOX指数とは?
SOX指数は、米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成されている株価指数です。
この指数は半導体業界の主要企業に投資することができ、半導体の設計、製造、流通、販売などを手掛ける企業が含まれています。
SOX指数の特徴:
- 構成銘柄: SOX指数の中心銘柄はエヌビディア、AMD、ブロードコムです。3銘柄で約30%程の構成比率になります。
- 時価総額平均加重: SOX指数は時価総額平均加重を採用しており、上記3銘柄のように時価総額の大きい銘柄の影響力が大きくなります。
- 構成銘柄の見直し: 毎年9月にSOX指数の構成銘柄が見直され、半導体業界の動向に応じて銘柄の入れ替えが行われます。
- 構成比率の見直し:3月・6月・9月・12月の四半期ごとに行われます。
半導体市場の市場規模は2023年時点で約5220億ドルですが、2030年には1.1兆ドルと、ほぼ倍増すると見込まれています。
このように、SOX指数は、半導体業界の成長に関連しており、最新技術の発展による需要増加によって継続的な成長が期待されます。
2. NASDAQ100指数とは?
NASDAQ100指数(ナスダック100指数)は、時価総額加重平均指数であり、ナスダックに上場している上位100銘柄(金融を除く)から構成されています。
この指数は、成長力や革新性を持つ企業(新興企業を含む)によって形成されています。
NASDAQ100指数の特徴:
- 時価総額平均加重を採用しています。
- 定期的に銘柄入替を実施しています。
- テクノロジー関連を中心に多様な業種で構成されいる。
- 時価総額ではナスダック市場全体の81%をカバーしています。
テクノロジー企業の中心的な役割
NASDAQ100指数は、主にアメリカのテクノロジー企業を中心に構成されています。
上位の銘柄には、アップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌビディア、メタ(Facebook)、ブロードコム、アルファベット(Google)、テスラなどの主要なIT企業が含まれています。
これらの企業は、テクノロジー分野での革新や成長が期待されており、NASDAQ100指数には成熟した企業が集まっています。
優れたファンダメンタルズを持つ構成銘柄
NASDAQ100指数の特徴的な点は、構成銘柄が優れたファンダメンタルズ(収益・キャッシュフロー・配当など)を有していることです。
このことにより、投資家は短期的な変動に囚われず、長期的な投資による良好なリターンを期待することができます。
相対的な強さとリスクの抑制
NASDAQ100指数は、株式市場の動向や他の指数と比較して相対的な強さを発揮することがあります。
例えば、2020年のコロナショックによる株式市場の影響を受けても、NASDAQ100は相対的な強さを示しました。
この相対的な強さは、優れたファンダメンタルズに加えて、NASDAQ100の独自のセクターバランスがリスクを抑える要因となっています。
魅力的な投資選択肢としてのNASDAQ100指数
NASDAQ100指数は、投資家にとって魅力的な投資選択肢と言えます。
リスクの高い商品に手を出すよりも、NASDAQ100指数や関連する指数に投資する方が現実的な選択肢とされています。
長期的なリターンを追求する投資家にとって、NASDAQ100指数は成熟したテクノロジー企業によって形成されており、安定した投資の機会を提供しています。
3. SOX指数の構成銘柄
以下に、SOX指数の上位構成銘柄とその構成比率を紹介します:2024年9月30日現在
*引用先:
日興アセットマネジメントマンスリーレポート
インデックスファンドSOX指数(米国上場半導体株式):日興アセットマネジメント株式会社で代替
また、2024年9月に構成銘柄の入れ替えがおこなわれました(下図参照)。
なんといっても、ARM(アーム)の採用が目を引きます。
2024年4月22日、SOX指数のウェートキャップの変更が行われました。
時価総額上位5銘柄 8% その他の銘柄 4%
時価総額1位 12% 時価総額2位 10%
時価総額3位 8%
その他の銘柄 4%
なお、SOX指数は年4回構成比率のリバランスが行われますが、リバランス後の時価変動により、各銘柄の構成比率がその上限を超えることもあります。
他指数も構成比率がその上限を超えることはよくありますが、エヌビディアのようにボラティリティの激しい時価総額の大きい銘柄が含まれる指数の場合、次回リバランスまでに上限を超えることがよくあります。
SOX指数は、30銘柄による分散投資となっていますが、全ての銘柄が半導体関連企業であるため、半導体セクター全体の下落時にはリスクが高まる可能性があります。
4. NASDAQ100指数の構成銘柄
NASDAQ100指数は、ナスダックに上場する約3000銘柄のうち、金融セクターを除いた時価総額上位100位までの大型株で構成されています。
NASDAQ100指数の構成銘柄は、主に米国の大手テクノロジー企業が中心となっています。以下に代表的な構成銘柄を挙げます:2024年5月末現在
*引用先:日興アセットマネジメントニュースレター
NASDAQ100指数の構成銘柄は定期的に見直され、時価総額の変動や銘柄の割当比率の変化に応じて調整されます。
銘柄の選定は将来的な成長性や収益性などを考慮して行われます。
下図は、過去のNASDAQ100指数の構成銘柄入替実績です。
*引用先:日興アセットマネジメントニュースレター
その後、2024年6月24日より「アームホールディングス」を採用、「シリウスXMホールディングス・インク」を除外しました。
これらの企業はファンダメンタルズが非常に高く、収益性やキャッシュフローなどが優れています。
さらに、NASDAQ100指数の構成銘柄には、成長企業や新興企業も含まれています。
これらの企業は将来的な成長の可能性が高く、投資家にとって魅力的な機会となることがありますが、同時にリスクも伴いますので、慎重な判断が必要です。
NASDAQ100指数はテクノロジー企業が主体であるため、現代のテクノロジー業界の成長に参加する機会を提供しています。
5. SOX指数 vs NASDAQ100指数 様々な比較
SOX指数とNASDAQ100指数を比較すると、それぞれのリターンとリスクには違いがあります。以下では、それぞれの特徴について解説します。
過去10年間のパフォーマンスを比較
2014年9月1日から2024年9月18日のSOX指数とNASDAQ100指数パフォーマンス比較です。
(米ドル建て、配当込み)
*引用先:Global X Japan インデックスレポート
過去10年間はSOX指数のパフォーマンスはNASDAQ100指数を圧倒しています。
特に、2017年くらいからSOX指数は大きく上昇しています。
2022年から現在までのパフォーマンス比較
2022年初頭から2024年現在(2024年10月11日)までのパフォーマンス比較です。
ここでは両ETFで比較します。
SOX指数の代替としてSOXX、NASDAQ100指数の代替としてQQQを使用します。
*SOXXのベンチマークは2021年から「SOX指数」より「ICE半導体指数」に変更されていますが、同じ30銘柄で重複する品目も多く、値動きもほぼ同じため支障はないと思います。
最終的にSOXXのパフォーマンスがQQQをわずかに上回っています。
ただ、SOXXは2022年、2024年に度々大きな下落が見てとれます。
このことからもSOXXのボラティリティの高さがよくわかると思います。
SOX指数パフォーマンスとシリコンサイクルの関係性
シリコンサイクルとは:
半導体産業では、設備投資や在庫管理のタイミングの調整が難しいとされています。
- 製品の世代が変わる時期に、需要が減ると在庫が積み上がり値崩れによる業績悪化が起こります。
- 技術革新等により再び需要が回復するころに設備投資を行います。
- 稼働後1~2年後に再度需要の低迷が起こります。
これを繰り返すことでおおよそ4年周期での景気循環が生まれます。
このシリコンサイクルの周期は下図を見ればよくわかります。
これがSOX指数のパフォーマンスに大きく関係しています。
*引用先:楽天証券トウシル
ちなみに、シリコンサイクルも大きく影響して、過去約20年のパフォーマンスはNASDAQ100指数の方が優れています。
SOX指数のリターン約700%に対して、NASDAQ100指数は約1000%程です。
半導体産業はスーパーサイクル突入している
半導体産業は2017~2018年ごろから、シリコンサイクルはスーパーサイクルに突入していると言われています。
AIやIoTといった、半導体と切っても切り離せない分野の成長、5Gや電動自転車の普及が続くと需要は高まり続けるため、スーパーサイクルの呼び水になるとされています。
シリコンサイクルが続けば、SOX指数はボラティリティの高さはありますが、長期的に上昇を続けると思います。
SOX指数に下落はつきもの
SOX指数はこれまで驚異的な上昇を記録しました。
しかし、度々、激しい下落も見せています。
下図の(網掛け部分)は直近最高値から底値まで10%以上下落した期間です。
この期間に12回も記録しています。
このように、SOX指数は下落を繰り返しながら、長期的には大きく上昇していきます。
*引用先:Global X Japan インデックスレポート
SOX指数 vs NASDAQ100指数 リターンとリスクの比較
下図のリターンとリスクの表を見てみましょう。
引用:ニッセイアセットマネジメント株式会社販売資料:データ期間:2012年12月末~2022年12月末(月次)
リターン、リスクリターンともに SOX指数>NASDAQ100指数とわかります。
SOX指数への投資は高いリターンをもたらす一方で、大きな値動きやリスクも伴うことがわかります。
SOX指数への投資を検討する際は、そのハイリスクを十分に考慮し、精神的に耐えられるかどうかを判断することが重要です。
結論
一方、NASDAQ100指数はSOX指数と比較して、安定的な値動きをすることがわかります。
長期的な投資先としてはNASDAQ100指数、SOX指数への投資は短期投資もしくは、サテライトでの投資が良いと思います。
もちろん、現在スーパーサイクルの真っただ中で、今後も大きなパフォーマンスが続くとはずだと期待する方は、SOX指数関連の投資先も魅力的だと思います。
SOX指数とNASDAQ100の徹底比較 について総括
- リターン、リスクリターンともに SOX指数>NASDAQ100指数
- SOX指数は短期的に高いリターンを期待できますが、ボラティリティも高く、サテライト向き
- SOX指数はスーパーサイクルが続けば今後も大きな上昇が期待できる
- NASDAQ100指数は、比較的安定した高いリターンを生み出してきており長期投資も可能
- 投資家の目的や投資スタイル、リスク許容度に合わせて、両指数の特徴を十分に理解した上で投資先を検討することが重要
*投資を検討する際には、自身のリスク許容度に合わせた判断を行うことが重要です。
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