レバレッジETFの攻防!SOXLとTECLどっちが投資の的?徹底比較

finance 比較記事

人気の高いレバレッジETFであるSOXL(Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF)とTECL(Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF)の特徴や投資リスク、パフォーマンスを比較していきます。

レバレッジETFの魅力と注意点について詳しく解説します。

記事のポイント SOXL、TECLの比較に加え、TQQQも比較対象

1. SOXLとTECLの概要

technology

SOXL(Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF)とTECL(Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF)は、両方ともDirexion社によって運用されているETF(上場投資信託)です。

SOXL(Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF)

  • ティッカーシンボル: SOXL
  • 運用会社: ディレクション社
  • 概要: SOXLは、半導体関連企業の株価パフォーマンスを3倍に追跡することを目指しています。半導体業界は現代のテクノロジーの基盤であり、高成長率を持つ業界として注目されています。

TECL(Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF)

  • ティッカーシンボル: TECL
  • 運用会社: ディレクション社
  • 概要: TECLは、テクノロジー関連企業の株価パフォーマンスを3倍に追跡することを目指しています。テクノロジー業界は急速に成長し、イノベーションと新しい市場の創出が特徴です。

両方のETFは、投資家にテクノロジーセクターの成果を倍増させる機会を提供します。ただし、これらのETFはレバレッジ(倍率)を持っています。

また、株価の上昇とともに設定倍率で増加するため、リスクも高くなります。

故に、投資を考える際には、リスクや適切な投資期間を考慮することが重要です。

2. SOXLとTECLトータルリターンの比較(TQQQ含む)

finance

このセクションでは、SOXLとTECLのトータルリターンを比較します。トータルリターンは、投資期間中に得られた合計収益のことを指します。

10年間の結果

PortfolioVisualizerのデータを用いて、過去10年間の結果を見てみましょう。この期間中の初期投資額は3000ドルで、毎月500ドルを投資していった場合の結果を示しています。

  • SOXLの最終的な金額の合計は1.87ミリオンドルとなり、TECLは1.23ミリオンドルです。
  • TQQQは1.53ミリオンドルとなっています。

リスク指標の比較

標準偏差を見ると、SOXLが65.45%、TECLが50.38%、TQQQが49.26%となっています。この結果から、SOXLが最もボラティリティが高いことが分かります。

最大ドローダウンを見てみると、SOXLが65.83%、TECLが56.62%、TQQQが49.12%となっています。

最大ドローダウンとは、過去最高値から最も価格が下がった幅のことで、SOXLが最も大きな値を示しています。

さらに、シャープレシオを見ると、TQQQが1.08、TECLが0.98、SOXLが0.90となっています。

シャープレシオは、リスクを考慮した上でのリターンの効率性を示す指標であり、TQQQが最も優れたバランスを持っていることが分かります。

年間平均リターン

年間平均リターンを見てみると、TQQQが50.86%、SOXLが45.20%、TECLが44.04%となっています。

特に、最近の5年間では、SOXLが90.98%のリターンを示しており、半導体レバレッジによる高い成長が見られます。

以上の結果から、トータルリターンの観点では、SOXLが最も有利であることが分かります。

ただし、SOXLのボラティリティと最大ドローダウンが高いため、投資家はリスクを考慮した上で適切な判断を行う必要があります。

また、投資は自己責任で行うことが重要です。

3. 2020年のリターンの比較

semiconductor

2020年のリターンを比較してみましょう。SOXLとTECLのパフォーマンスを見ると、ほぼ同じと言えます。この年は両方のETFが安定した成績を収めています。

2020年はCOVID-19パンデミックが世界を襲い、多くの市場が大きく下落しました。このような状況下で、SOXLとTECLは堅実なパフォーマンスを示しました。

半導体セクターは需要が堅調であり、SOXLとTECLはその需要の恩恵を受けていました。

ただし、SOXLは安定感がある一方で、TECLはハイリターンの一面もあります。

2020年のリターンがほぼ同じであることからも分かるように、SOXLとTECLは似たようなパフォーマンスを示しています。

以上の結果から、SOXLとTECLは2020年においては比較的安定した成績を収めており、両方とも投資の検討に値するETFであると言えます。

4. 暴落回数と暴落率の比較

finance

レバレッジETFのパフォーマンス評価において、暴落回数と暴落率は非常に重要な指標です。ここでは、SOXLとTECLの暴落回数と暴落率を比較してみましょう。

暴落回数の比較

まずは暴落回数の比較です。SOXLとTECLの上場開始日から2021年10月1日までの暴落回数を調査しました。結果として、以下の結果が得られました。

  • TECL:19回の暴落
  • SOXL:25回の暴落

これにより、SOXLはTECLよりも暴落回数が多いことが分かります。

暴落率の比較

続いて暴落率の比較です。暴落率は、直近の最高値から最底値までの下落率を表します。以下は、SOXLとTECLの暴落率の一部です。

  • SOXL暴落率:-35.7%、-33.7%、-35.0%、-56.6%、-48.4%
  • TECL暴落率:-77.9%、-39.3%、-32.5%

暴落率の平均を比較すると、以下の結果となります。

  • SOXLの平均暴落率:-45.9%
  • TECLの平均暴落率:-41.6%

以上の結果から、TECLはSOXLに比べて暴落回数も暴落率も少なく、より安定性が高いと言えます。

5. 2022年以降のリターンの比較(SOXLとTECL)

ここでは2022年以降のSOXL,TECLのチャートを見ていきましょう。対象の期間によって違いが、出てきています。

以下のSOXL、TECLの比較チャートを参考にして下さい。 *TradingViewを引用しています。

2022年から現在のリターン(SOXLとTECL)チャート参照

2022年初頭をゼロとしてから現在(2024年7月)の期間までは、一貫してTECLの上昇が大きいと言えます。

2023年から現在のリターン(SOXLとTECL)チャート参照

2023年初頭をゼロとして現在(2024年7月)までの上昇は、僅かにSOXLが大きと言えます。

2022年のような比較的長い下落相場があると、ボラティリティが高いSOXLは、TECLに劣後することがわかります。SOXLは、TECLに比べて最低値からの回復に時間がかかるためです。

しかし、SOXLは、連続した上昇相場でのリターンはかなり大きい言えるでしょう。

6. レバレッジETFのリスクと魅力

finance

レバレッジETFは、少ない資金で一気に稼ぐ可能性があるという魅力がありますが、その一方でリスクも存在します。

以下に、レバレッジETFのリスクと魅力について詳しく説明します。

5.1 リスク

  • 価格の乖離リスク: レバレッジETFは、指数との乖離が生じる可能性があります。指数の値動きに追従しているとは限らず、ボラティリティが高く変動することがあります。
  • 資金割れリスク: レバレッジETFの価格が大幅に下落した場合、元本割れのリスクがあります。特に長期保有の場合、価格変動による損失を回復するまで時間がかかる可能性があります。
  • 手数料リスク: レバレッジETFは、他のETFと比較して手数料が高い傾向があります。手数料が利益を圧迫する要因となるため、注意が必要です。
  • レバレッジリスク: レバレッジETFは、レバレッジをかけて運用するため、指数の値動きの3倍などのリターンが期待できますが、その分リスクも大きくなります。

5.2 魅力

  • 少ない資金で高いリターンが見込める: レバレッジETFに投資することで、少ない資金でも高いリターンが期待できます。例えば、コロナショック後の上昇基調で一気に価格が上昇した場合、短期間で大きな利益を得ることができます。
  • 積立投資にも活用できる: レバレッジETFは、積立投資にも利用することができます。長期的な運用を前提とした場合、将来の値上がりを期待する銘柄にレバレッジをかけることで、高いリターンを狙うことができます。
  • 投資家の選択肢の一つとして活用できる: レバレッジETFは、投資家の選択肢の一つとして利用されています。適切なリスク管理と資金配分を行いながら、レバレッジETFを活用することで、多様な投資手法を取ることができます。

レバレッジETFは魅力とリスクを兼ね備えた投資商品です。リスクを十分に理解し、自己の投資目的やリスク許容度に応じて検討することが重要です。また、十分な情報収集やリサーチを行いながら、慎重に投資判断を行うことも大切です。

まとめ

SOXLとTECLはともにレバレッジETFであり、高い成長と引き換えに高リスクという特性を持っています。

10年間の実績を見ると、SOXLのトータルリターンが最も高いものの、同時に最も高いボラティリティと最大ドローダウンも示しています。

レバレッジETFには魅力も存在しますが、リスクも高いため、自身のリスク許容度や投資目的に応じて慎重に検討する必要があります。

一方、TECLは相対的に安定性が高く、シャープレシオも良好です。

それぞれのETFの特性を十分に理解し、適切な投資判断を行うことが重要と言えるでしょう。