近年、半導体市場が急速に成長しており、日本の半導体関連企業にとっても大きなチャンスとなっています。
この機会を捉えるため、新しいETF:282A(グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF)が登場しました。
本ブログでは、同じ日本の半導体ETFである2644との比較をしていきます。
半導体市場の成長トレンドとそれに伴う投資機会について理解を深めましょう。
記事のポイント
- 低コストの282Aの特徴
- 282Aと2644の日本半導体ETFの比較
- 半導体大国日本の現状
1. 282A(グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF)とは?ポートフォリオ構成と特徴
グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETFの概要
グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF(コード:282A)は、2024年11月21日上場です。
当ETFは、日本の代表的な半導体関連銘柄10銘柄から構成される、「Mirae Asset Japan Semiconductor Top 10 Index(配当込み)」をベンチマークとします。
282Aは、半導体業界に特化した投資を行い、低コストで効率的な投資のチャンスを提供することを目指しています。
ポートフォリオ選定の基準
282Aに組み込まれる銘柄は、以下の基準に基づいて選定されています。
- 売上基準: 日本の上場企業の中から、半導体関連の売上高が全体の売上高に対し20%以上をなす企業を対象としています。
- 流動性のある銘柄の選択: 上記基準を満たす企業の中から、浮動株時価総額を基準にして上位10社が選出されます。これにより、流動性の高い銘柄に重きを置いた投資が実現されます。
銘柄選定基準の詳細
ETFに採用される銘柄は、以下の基準を満たす必要があります。
- 取引量: 日々の平均取引代金が1億円以上であること。
- 時価総額: 企業の時価総額が10億円以上であること。
- 業種分類: 半導体関連銘柄としてGICS(Global Industry Classification Standard)に基づき、「半導体」と「半導体材料・装置」の銘柄比率はそれぞれ上限15%と10%に設定されています。
各銘柄の組入比率は、浮動株時価総額加重平均によって算出されます。
282Aの組入銘柄と比率
下図は282Aの対象指数の組入10銘柄と比率(2024年9月30日時点)です。
引用:Global X Japan株式会社
投資戦略とリターンを目指す姿勢
282Aは、半導体市場の成長性を背景に、自動車産業やAI、IoTなどの分野での需要拡大に応じて、日本企業の競争力を活かし、高いリターンを目指しています。
厳選された10銘柄への投資によって、マーケットの変動に対して迅速に対応するアクティブな運用が可能となっています。
コスト効率の高い運用管理
信託報酬は業界内でも低水準に設定されており、0.10%(税込0.11%)となっています。
このため、投資家はコストを抑えつつ、良好な投資パフォーマンスを期待できる状況にあります。
282Aは、日本の半導体関連株への投資をリーズナブルな価格で実現し、投資家にとって非常に魅力的な選択肢となっているのです。
282Aの対象指数のパフォーマンス
当ファンドの対象指数「Mirae Asset Japan Semiconductor Top 10 Index(配当込み)」とTOPIXとのパフォーマンス比較を見ていきます。
2018年7月20日から2024年9月30日までの実績(配当込みのトータルリターン)です
引用:Global X Japan株式会社
パフォーマンスはTOPIXを圧倒しています。
2. 2644(グローバルX 半導体関連-日本株式ETF)とは
282Aに対して、2644はより広範な半導体関連の銘柄を対象としています。
ベンチマークは「FactSet Japan Semiconductor Index(配当込み)」であり、同指数の変動率に一致させることを目的とします。
2644(グローバルX 半導体関連-日本株式ETF)については下記に詳しく書いています。
こちらをご覧ください。
2644のパフォーマンス
2021年9月28日(2644上場日)から2024年11月1日までのパフォーマンスです。
こちらもTOPIXと比較しています。
こちらのパフォーマンスもTOPIXを圧倒しています。
3. 282Aと2644の比較
グローバルXが提供する282Aと2644は、どちらも日本の半導体市場に投資するためのETFですがここでは、その違いについて見ていきましょう。
下記の比較表も参考にして下さい。
282A | 2644 | |
---|---|---|
銘柄数 | 10銘柄 | 最大40銘柄 |
組入比率 | 時価総額加重 | 時価総額加重 |
組入比率上限 | 15%または10% | 30%または10% |
信託報酬 | 0.11% | 0.649% |
設定日 | 2024年11月21日 | 2021年9月28日 |
282Aと2644の基本的な違い
両ETFの焦点と構成銘柄には明確な違いがあります。
282Aは日本の代表的な半導体関連銘柄から選ばれたトップ10銘柄に厳選投資しているのに対し、2644はより広範な半導体関連の銘柄を対象としています。
このため、投資ポートフォリオの特性が異なるのです。
パフォーマンスの特徴
282Aは、選ばれた上位10銘柄に比較的集中投資するため、値動きが大きくなる傾向があります。
このアプローチは、高リターンを目指す投資家にとって魅力的ですが、リスクも伴います。
一方で2644は、より多くの銘柄に分散しているため、相対的に安定したパフォーマンスを示す可能性があります。
したがって、リスクを抑えたい投資家にとっては2644の方が適しているかもしれません。
トレンドの追従性
半導体市場が拡大する中で、282Aはその厳選された銘柄が急成長する動きをしっかりと捉える潜在力を持っています。
特に、日本の半導体関連企業は世界的な需要に応じた成長が期待されており、これに伴う利益の高まりは282Aに利点を与えるでしょう。
対照的に、2644はより多様な投資を行うため、特定銘柄の急騰によるパフォーマンスの向上には影響を受けにくい構造となっています。
投資スタイルによる選択肢の違い
投資家がどのETFを選ぶべきかは、求める投資スタイルに依存します。
282Aは、短期から中期的な投資で高いリターンを追求する投資家に向いています。
逆に、2644は安定的な資産運用を考える投資家に適しており、業界全体の成長を享受することが可能です。
このように、282Aと2644はそれぞれ異なる特性を持っており、投資家のリスク許容度や投資目的に応じて選択する必要があります。
成長市場におけるポテンシャル
半導体市場は、今後も1兆ドルに達することが見込まれており、それに伴う市場機会は計り知れません。
282Aはこのような成長市場での投資を容易にし、特に成長が期待される企業へのアクセスを提供します。
選定基準に基づいて浮動株時価総額上位の企業が組み込まれるため、成長ポテンシャルのある銘柄に効率的に投資できるのです。
中長期的な投資戦略の実現
282Aは、(リスクを受け入れられる方であれば)長期的な視点での資産形成を目指す投資家に最適です。
短期的な価格変動はあるものの、半導体産業全般が持つ基本的な成長トレンドにより、時間をかけて資産が増加する可能性が高いと考えられています。
特に中長期的なトレンドにフォーカスした投資戦略を採用することで、相対的な安定感を享受できるでしょう。
このように、282Aを通じて半導体市場の成長機会を低コストで狙うことが可能となり、賢い投資選択として注目されています。
4. 半導体大国日本 – 装置や素材で圧倒的シェアを持つ国内半導体関連銘柄
日本の半導体産業の現状
日本は世界的な半導体市場において、特に半導体製造装置や材料の分野で強い地位を占めています。
近年のデジタル化や自動車産業の電子化により、半導体需要が急増しており、日本の企業はこの波に乗る形で更なる成長が期待されています。
製造装置での技術革新
半導体製造には、非常に高度な技術を持つ製造装置が必要不可欠です。
日本の企業は、これらの製造装置の開発において、長い歴史と豊富な経験を生かし、高いシェアを誇っています。
特に、半導体の微細化が進む中で、日本企業の技術力はますます重要になっています。
技術力を武器にした日本の製造装置メーカーは、世界市場でも競争力を持ち、今後の成長が期待されています。
重要な素材供給源
日本は、半導体の製造過程において必要とされる原材料でも大きな役割を果たしています。
シリコンウェハやフォトレジストといった高品質な材料を提供する日本企業は、サプライチェーンの重要な部分を担っています。
これらの材料がなければ、半導体製品の品質と性能が大きく損なわれるため、日本の企業の存在感は非常に大きいと言えるでしょう。
国内企業のシェアと特徴
日本の半導体関連企業には、数多くの大手が存在します。
例えば、東京エレクトロンやディスコなどは、製造装置や材料の分野で高いシェアを持ち、世界的に認知されている企業です。
これらの企業は、革新と品質にこだわり、多くの国際的なパートナーとの協力を行っています。
自動車産業における影響
特に、自動車産業においては、EV(電気自動車)や自動運転技術の進展により、半導体への依存度がさらに高まっています。
このトレンドは日本の半導体関連企業みに対して、さらなるビジネスチャンスを提供すると期待されています。
自動車部品メーカーや関連の製造業者と連携しながら、国内企業が新たな市場を開拓することが期待されます。
経済全体への影響
日本の半導体産業の成長は、経済全体にも大きな影響を及ぼします。
半導体の供給が安定することで、他の産業の生産性向上につながり、雇用の創出にも貢献します。
これにより、国内経済の成長にも寄与することが期待され、企業の技術力の強化と国際競争力の向上が必要です。
このように、日本の半導体市場は設備投資の拡大と技術革新の成果によって、今後も成長を続ける見通しです。
国内の半導体関連銘柄に対する投資は、その成長機会を捉える有効な手段と言えるでしょう。
282A 2644 比較 について総括
- 282Aは10銘柄集中投資のため、高リターン、高リスクである
- 2644は最大40銘柄へ分散投資のため安定したパフォーマンスを示す可能性がある
- 信託報酬は282Aがかなり安い(282A:0.11% 2644:0.649%)
- 一般的に282Aは短期から中期的な投資で高いリターンを追求する投資家に向いている
- 282Aはリスクを許容できれば長期的な資産形成に活用できる