AIの覇者争い!インテル、エヌビディア、AMDの最新AI半導体開発競争

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AI半導体の技術革新が急速に進み、エヌビディア、AMD、インテルといった主要企業が熾烈な開発競争を繰り広げています。このブログでは、AI半導体の概要から各社の製品戦略、そして今後の展望までを解説します。AI半導体に関心のある皆さん、この機会に最新の動向を確認しましょう。

1. AIを動かすAI半導体とは

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AI半導体とは、AIの学習と推論を行うために使用される半導体の総称です。AI用GPU、AI用CPU、およびAIの学習と推論に特化したロジック半導体が含まれています。

AIを動かすためには、まず大量の学習データが必要です。この学習データをもとに、AIは学習を行い、その結果を基に推論を行います。以前はCPUで学習と推論が行われていましたが、2012年頃にGPUの方が効率的であるという研究結果が公表されました。それ以降、学習はGPU、推論はCPUで行う役割分担が一般的となりました。

AI半導体の中でも特に注目されているのがエヌビディアです。彼らの「H100」はディープラーニングと推論能力を高め、GPUでの処理を効率化することに成功しました。

また、AMDもAI用GPUを開発し、2021年11月には「Instinct MI200」シリーズ、2023年12月には「Instinct MI300」シリーズを発売しました。最新の「MI300」シリーズには「MI300X」と「MI300A」の2つのモデルがあります。

インテルはAI半導体を提供することにより、3つの選択肢を提供しています。CPUのみで対応する「Xeon」と「COREシリーズ」、CPUとGPUを組み合わせる「Xeon」と「Intel Data Center GPU」、さらにディープラーニング専用の半導体である「Habana Gaudi2」です。

これらの企業の技術革新や製品開発により、AI半導体の需要はますます拡大することが予想されます。

2. エヌビディアの支配的地位

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エヌビディア(NVIDIA)は、AI半導体の分野で支配的な地位を確立しています。同社は、世界のデータセンター用のAI半導体の約8割のシェアを持っており、そのリーダーシップを維持しています。特に、エヌビディアは生成AIによる新しい産業革命を実現するためのデータセンター用のAI半導体に注力しています。

AI半導体の重要性

AI半導体は、人工知能(AI)を高速に処理するために必要な半導体です。AIは膨大な計算能力を要求するため、従来の半導体では処理しきれない量のデータを高速に処理する必要があります。そのため、AI半導体は特殊なアーキテクチャや高性能な演算能力を備えています。

エヌビディアのリード

エヌビディアは特に生成AIに特化したAI半導体の分野でリードしてきました。同社は、米オープンAIの「ChatGPT」などの生成AIサービスを実現するためのデータセンター用AI半導体を提供しています。その優れた性能と信頼性から、世界のデータセンターで広く採用され、市場シェアの大部分を獲得しています。

新製品とロードマップ

エヌビディアは、AI半導体の新製品の投入により、さらにその支配的地位を強化する計画を立てています。2024年には画像処理半導体「ブラックウェル(B200)」を本格出荷予定とし、その後の25年から27年にかけて新製品を順次投入するロードマップを発表しています。エヌビディアは独自の技術と製品ラインナップを活かし、市場での独走態勢をさらに強化することを目指しています。

時価総額の伸び

エヌビディアは、CEOのジェンスン・フアン氏のリーダーシップの下で急速に成長しています。フアン氏は、AI半導体の可能性を信じ、台湾企業との連携を重視しています。その結果、エヌビディアの時価総額は3兆ドルを突破し、世界で2番目に大きな企業となりました。

エヌビディアの支配的な地位は、同社の技術力と競争力の証です。今後もエヌビディアは新製品の開発や提携を通じて、AI半導体市場での地位を拡大していくことが期待されます。

3. AMDの追撃と新製品「Instinct MI300」

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AMDは、エヌビディアに対抗するために力を入れており、新しいAI半導体「Instinct MI300」シリーズを発表しました。この新製品は大手サーバーメーカーやマイクロソフトAzureにも提供される予定です。Instinct MI300シリーズには、GPUのみの「MI300X」とCPUとGPUが組み合わさった「MI300A」という2つのモデルが含まれています。

3.1 AMDの新製品「Instinct MI300」の性能比較

AMDは、「Instinct MI300」シリーズの性能をエヌビディアの「H100」と比較しました。大規模な言語モデルにおいては、「MI300X Platform」は「H100 HGX」に比べてスループットが1.6倍向上し、「Llama2」というモデルでは1.4倍の遅延改善が見られました。また、学習性能においては、両者は同等の性能を示しました。

さらに、「MI300X Platform」は大規模な言語モデルの学習や推論において、「H100 HGX」の約2倍の性能を発揮することが示されました。また、「GH200」と「MI300A」の比較では、「MI300A」は単位電力消費量当たりのHPCパフォーマンスで2倍の性能を持っていました。さらに、「MI300A」はOpenFOAMの動作においても、「H100」の4倍のパフォーマンスを示しました。

3.2 エヌビディアとAMDの反論

一方、エヌビディアはAMDの比較結果に反論しました。彼らは、AMDが「H100」と「MI300X」の性能比較を行った際に、エヌビディアの独自ソフトウェアである「TensorRT-LLM」を使用していなかったことを指摘しました。エヌビディアは「TensorRT-LLM」を使用した場合の性能比較結果を示し、「H100」が「MI300X」に圧倒的な性能を持つことを主張しました。

これに対して、AMDは「vLLM」というライブラリを使用した場合の性能比較結果を発表しました。「MI300X」は「H100」の約2.1倍のスコアを記録したとのことです。

3.3 市場での評価と競争の展望

最終的に、どちらが優れた性能を持つかは市場の評価に委ねられます。現時点では、エヌビディアがAI特化型チップの開発において優位性を持っているとされていますが、AMDも開発支援ソフトウェアの充実に取り組んでおり、真の競争が市場で展開されることが期待されています。将来的には、技術系メディアやITコンサルティング会社がベンチマークテストを行い、中立的な立場で両者の性能を比較することで、より客観的な結果が得られるでしょう。

エヌビディアの開発能力には再び注目が集まっています。また、現在の生成AIブームが続く限り、エヌビディア製のAI用GPUの品不足が続く可能性もあります。その場合、AMDの「MI300」シリーズやAWS、グーグル・クラウド、Azureの独自AI半導体がエヌビディアの補完製品として需要を集めることが予想されます。

4. インテルの取り組み

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インテルはAI技術の進化に応じて、効果的なAI半導体を開発するための取り組みを行っています。以下には、インテルの主な取り組みとその効果について説明します。

A. 技術系のCEOの就任

2013年にCEOを務めたブライアン・クルザニッチ氏の後任として、技術系のパット・ゲルシンガー氏が2021年にインテルのCEOに就任しました。この就任以降、インテルは新たな技術に注力する姿勢を鮮明にしました。

B. 工場への新規投資

インテルは、製造工場への新規投資に力を入れています。2021年以降、インテルはオハイオ工場に200億ドル、アリゾナ工場に300億ドルの追加投資を行い、アイルランド工場の拡張にも70億ドルを投じました。さらに、ドイツやポーランドにも新工場の設立を予定しています。

C. GPUとAI機能の強化

インテルは製品開発において、特にGPU(画像処理装置)とAI機能の充実に重点を置いています。AI機能をパソコンにも投入するだけでなく、スーパーコンピューター向けのGPU開発でも実力を発揮しています。

D. スタートアップ企業との提携

インテルはスタートアップ企業との提携を通じて、新たな技術や製品の開発に取り組んでいます。例えば、AIや機械学習、クラウドコンピューティング、データセンターなどの重点分野において、インテルはスタートアップ企業と協力し、共同で研究や製品開発を行っています。

E. 成果と将来展望

インテルの取り組みの成果として、製造工場への大規模な投資やGPU、AI機能の強化、スタートアップ企業との提携などが挙げられます。これらの取り組みにより、インテルはAI分野やデータセンター分野での地位を固める一方、競争力を高めています。

将来展望として、インテルはさらなる技術革新や新製品の開発に取り組むことが予想されます。特に、AI技術の進化やデータセンターの需要の拡大により、インテルはさらに成長する可能性を秘めています。

以上がインテルの主な取り組みと将来展望についての解説です。インテルの積極的な投資と技術開発により、AI半導体市場において競争力を高めていくことが期待されます。

5. 各社の戦略と将来展望

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各社はそれぞれ自社の競争力を高めるために、異なる戦略を展開しています。以下に各社の戦略と将来展望をまとめます。

エヌビディアの戦略と将来展望

  • エヌビディアは、GPU(画像処理半導体)の分野で強みを持っており、ゲーム機用やデータセンター用などで高いシェアを持っています。
  • AI分野においても力を入れており、人工知能時代においてはリーダーとしての地位を確立することを目指しています。
  • 将来展望としては、2024年前半に投入される新製品「H200」「B100」「X100」に期待しており、さらなる成長を目指しています。

AMDの戦略と将来展望

  • AMDは、マルチコア化に着目し、コストパフォーマンスやセキュリティに優れた製品づくりを行ってきました。
  • AIやクラウドなどの分野にも力を入れており、CPUではインテル、GPUではエヌビディアと競合しながら、地位を固めつつあります。
  • 将来展望としては、データセンター用の売上高を増やすために、新製品「Instinct MI300」の投入を計画しています。

インテルの戦略と将来展望

  • インテルは、クライアント・コンピューティング(主にパソコン用CPU)とデータセンター&AIの2つのセグメントに力を入れています。
  • パソコン用CPUでは最新型の生成AI処理能力強化型の製品を投入しており、営業利益率の改善や回復に取り組んでいます。
  • データセンター&AI分野では、AIブームの波及や新生産ラインの稼働開始などにより、売上高回復と再成長を目指しています。

各社は自社の強みを活かしながら、今後さらなる成長を目指しています。特にAI分野では、競争が激化しており、各社が新製品の開発や投入を行っています。今後の市場動向や技術の進歩に注目が集まっており、各社の戦略と将来展望が非常に重要となります。

以下エヌビディア(NVDA)、AMD、インテル(INTC)の比較チャートです。

*TradingViewよりの引用です。

まとめ

AI半導体市場では、エヌビディア、AMD、インテルなどの各社が競争を繰り広げています。エヌビディアはGPUで圧倒的な地位を築いており、新製品の投入により優位性を維持しようとしています。一方、AMDは「Instinct MI300」シリーズの投入でエヌビディアに迫ってきており、両社の競争が激化しています。また、インテルもAI分野への注力を強め、新技術の開発や工場投資などに力を入れています。今後も各社が自社の強みを活かし、AIおよびデータセンター市場での地位を確立するために技術革新を続けていくことが期待されます。

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